法改正から半年!その間、荷主企業は何を進めた?~新物流効率化法の正しい理解と、荷主企業が考えるべきこと~【セミナーレポート】
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「法改正から半年!その間、荷主企業は何を進めた?~新物流効率化法の正しい理解と、荷主企業が考えるべきこと~」セミナーは、ご好評のうちに終了いたしました 。 当日は多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。
本セミナーにご興味をお持ちいただいた方、当日ご都合がつかなかった方のために、当日の講演内容をまとめた「セミナーレポート」をご用意しております 。

物流効率化法の基本と荷主の義務がわかる
法改正の背景や目的、そして「第一種/第二種特定荷主」の基準や、すべての荷主企業に求められる努力義務(積載効率の向上、荷待ち時間・荷役時間の短縮など)といった、法令の基本的な内容を正確に理解できます。

現場の具体的な疑問点が解消できる
「法令の枠組みは理解したが、現場への落とし込み方がわからない」といった、荷主企業が実際に抱えている疑問点に対し、行政の回答やコンサルタントの見解を交えた「一問一答」形式で具体的な解説が聞けます。

法令遵守の先にある「経営と物流」の関係性が学べる
単に法令を守る(守り)だけでなく、物流を経営課題として捉え、いかに収益確保や競争力強化(攻め)につなげていくか、といった視点や、CLO(最高物流責任者)に求められる役割について学ぶことができます。
1.法改正の背景と物流効率化法の目的:なぜ今、荷主企業が動くべきか
物流クライシスを招いた二つの大きな要因
現在、日本の物流業界は深刻な転換期を迎えています。その大きな要因の一つが、皆様もご存知の「2024年問題」になります。トラックドライバーの労働時間に上限規制が設けられた結果、これまでの長時間労働によって維持されていた輸送能力が不足し、物が運べなくなる事態が懸念されています。これに加え、EC市場の拡大に伴うネット通販の利用急増により、荷物の小口化や配送回数の増加が発生し、死亡重症事故の件数がふえ、安全面のリスクも高まっています。
私たちが日本企業の物流の歴史を振り返ると、1990年頃のバブル経済の崩壊とトラック輸送の規制緩和が大きな転換点であったと考えられます。景気減退により荷主企業様がコスト削減圧力を高めた一方で、規制緩和により運送事業者様が増加し、過当競争に突入しました。結果として、運送事業者様は人手不足、利益が出にくい、労働環境の悪化という悪循環が生まれました。この30年間、荷主企業様は運送事業者様からのコストメリットのある提案を受け続ける「受け身の物流」を構築してしまったと言えます。
社会全体で取り組むべき課題としての新物流効率化法
こうした物流クライシスへの対応として、国は「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」の三つの政策を打ち出しました。これらの政策を実現するための各種規制的措置が法制化されたものが、今回の物流効率化法の改正の背景になります。
今回の法改正が示しているのは、この悪循環から脱却し、荷主企業様や消費者様も含めて社会全体でこの課題に取り組むべきだという事実です。これまでの物流コストの価格交渉や、バース不足による数時間のドライバー待機といった問題は、運送事業者様だけの問題ではなく、荷主企業様と一体となって課題解決に臨まなければなりません。
新物流効率化法は、長年にわたり培われてきた荷主側優位の商慣行を変革し、物流全体を最適化するための強力な一歩となるものです。この流れを理解した上で、義務化に備えて今からどれだけ準備を進めていくかという点が、各企業様にとって大きな分かれ道になります。

2.特定荷主の対象判断と2026年4月に発生する具体的な義務
特定荷主の定義と「第1種」「第2種」の区分
新物流効率化法では、まず自社が特定荷主の対象となるか否かを把握することが重要になります。特定荷主の対象は、貨物自動車運送事業者様または貨物利用運送事業者様によって運送が行われた年間貨物の合計重量が9万トンを超過する荷主企業様になります。
特定荷主は、運送契約の主体となるか否かによって、第1種荷主と第2種荷主に区分されます。第1種荷主は、運送事業者様と運送契約を締結し、発注行為を行う立場で、主に元荷主の立場であることが多いです。一方、第2種荷主は、運送事業者様と運送契約関係になく、発注権限等を有していない立場で、主に着荷主の立場であることが多いです。契約主体であるか否かが、特定荷主を判断する上で非常に重要な要素になります。
例えば、元荷主様から運送事業者様へ配送依頼をし、得意納品先に届けられる場合、元荷主様と運送事業者様が運送契約を結んでいれば、元荷主様が第1種荷主となり、得意納品先が第2種荷主になります。なお、OEM等から得意納品先へ直接納入するような、運送業務に荷主様が関与していないケースでは、対象物量として取り扱うことはありません。

努力義務から義務化へ:CLO選任と中長期計画の重要性
現在、新物流効率化法の施行から半年が経過し、荷主企業様には努力義務として、積載率向上のためのリードタイム確保や、荷待時間短縮のためのトラック予約システムの導入、荷役効率化のためのパレット等輸送用器具の導入などが推奨されてきました。
しかし、今後この段階が進み、より具体的な義務が課せられます。2026年4月頃には、法律の施行第2段階が想定されており、特定荷主の対象となる企業様には、以下の三つの具体的な義務が課せられます。
1. 物流統括管理者の選任(CLO):役員クラスの担当者を選任する必要があります。
2. 中長期計画の作成・提出:トラックの積載率向上やドライバーの荷役時間短縮等、物流業務効率化を図るための具体的な計画を策定し、5年に一度、管轄へ提出しなければなりません。
3. 定期報告:策定した中長期計画における取り組みの進捗状況を定期的に報告する必要があります。
これらの義務は、特定荷主様へ課せられることになります。現在の努力義務の段階で、データ収集と現場の見える化を進めていくことが、将来の義務化に向けた非常に重要な準備になります。

3.荷待・荷役時間削減と積載効率向上への挑戦:荷主企業が直面する課題と現在地
システム導入だけでは解決しない荷待時間削減の「運用面」の壁
荷主企業様が抱える具体的な課題を把握するため、当社で実施した調査メールの回答を参照すると、取り組みを進める中でいくつかの課題に直面していることがわかります。
一つ目の「荷待時間削減」については、バース予約システムの導入を進めた企業様が非常に多いです。これにより、待機時間の可視化や状態コントロールは可能になったという声がある一方で、運用上の課題が顕在化しています。例えば、予約時間前に車両が到着し、待機場が渋滞するケースや、運送会社、特に多層化にまたがる取引において、予約時間を遵守しないことによる構内物流の生産性悪化が報告されています。また、予約しようとした時に時間枠が少ない、希望時間への返答に時間がかかる、あるいはシステムそのものを使ってくれないなど、運用面の確率が大きな課題として立ちふさがっています。システムを導入しただけで終わらせず、関係各署との連携や目線合わせを通じて、運用を確立していくことが急務になります。
本業との相克:荷役時間短縮と積載効率向上を阻む要因
二つ目の「荷役時間削減」については、バラ積みのパレット化による荷役時間の短縮や、複数箇所降ろしを特定の階のみの取り下ろしに限定するといった集約化施策が進められています。しかし、パレット化を進めることで、商品原価に与えるインパクトの大きさや、在庫の適正化と相いれない部分があるといった、事業の「本質」へのマイナス影響が課題となっています。また、集約化を進めたにもかかわらず、荷受けスペースの不足によって、結局荷役時間が短縮されないという問題も発生しています。ドライバーの荷役作業からの線引きが進む中で、フォークリフト作業の熟練度や事故リスクの観点からも、荷主側が構内で荷役を引き受けていく体制をどう作っていくかが重要なテーマになります。
三つ目の「積載効率の向上」については、企業様が必要性を理解しつつも、具体的な取り組みに踏み出せていないのが現状です。年々続く多品種小ロット化という市場の要請によって積載を上げること自体が難しいことに加え、荷物を積載することで、安全面のリスク(例:籠車が転倒した際に人では支えられない重量になるなど)が高まるため、安全と効率化のバランスも考慮しなければなりません。そもそも積載率を正確に把握するための可視化の仕組みがないことも、具体的なアクションを妨げる大きな要因となっています。
4.現場の疑問を行政に問う:特定荷主の物量カウントと効率化施策に対する公式見解
貨物量測定範囲の原則:「ドライバーの負荷」に関わる全てが対象
荷主企業様から寄せられた具体的な課題や疑問に対し、行政はどのような見解を示しているのでしょうか。まず、特定荷主の対象判断における取り扱い貨物量の測定範囲についてです。原材料の調達、製品・仕掛品の工場間移動、倉庫間の横持ち、産業廃棄物、梱包材の回収など、これら物流に関わる全てをカウントするのかという質問がありました。行政からの回答は、「本法律はトラックドライバーの負荷軽減・効率化を目指すという性質上、基本的には物流にかかる全て、すなわちドライバーさんが関わったところ全てを対象としている」というものでした。これは、今回の法改正が一貫して、ドライバーさんの労務環境の適正化を最優先していることを示唆しています。
ただし、全ての物量計測が困難であるという実情も考慮し、行政からは、物量の過半数以上が集中するエリアや機能(販売や調達など)のみの申請でも可能であるという補足がありました。企業様におかれては、まずは手持ちの情報(商品マスターや入出庫情報など)で試算し、自社の対象判断を迅速に実施することが求められます。
積載率の向上は「往復」で考えるべきという行政の期待
次に、効率化施策の矛盾に関する疑問です。「荷役時間削減のためにパレットを利用すると、積載率が低下しませんか?何を優先すべきですか?」という問いに対しては、行政は「片道積載率ではなく、往復の積載効率を向上させること」を法律の第一目的としていると回答しました。
荷役機器の利用による片道積載率の低下は「免がれない」としつつも、往復の活用や他者との共業(例えば、行きと帰りで違う荷主様が特定の便をシェアするラウンド輸送など)を通じて、全体としての効率化を図ることを期待しているとのことです。2024年問題への対応において、片道の効率を犠牲にしても、トータルでドライバーの負荷軽減や効率化に繋がる施策を優先することが求められていると言えます。
また、「商材特性により法律の目指す指標を下回る業界が出る場合、指標を緩和することは可能か」という質問に対しては、「業界ごとに全ての事情を考慮して数値を定めるのは再限がない」としつつも、特段の事情がある場合は聞き取り調査などをした上で検討することもあり得るという回答が得られています。まずは自社の実態を行政に伝え、対応の方向性を定めていくことが重要になります。
5.「受け身の物流」からの脱却:CLOに求められる7つの役割と経営戦略の再構築
CLO選任が意味するもの:自分たちの物流を取り戻すターニングポイント
新物流効率化法と2026年4月の義務化は、荷主企業様にとって、長年の「受け身の物流」を脱却し、自分たちの物流を自分たちで考え、取り戻すための大きなターニングポイントになります。
1990年頃の規制緩和以降、荷主企業様はコスト削減に走り、運送事業者様の提案に依存する形で物流体制が構築されてきました。しかし、この状況を続けることは、今後の経営を圧迫するリスクを高めます。この変革の中心となるのが、将来的に選任が義務付けられる物流統括管理責任者(CLO)です。
CLOの設置は単なる法令遵守にとどまらず、正しい役割と経営機能の設計が不可欠になります。経営層は、CLOの選任にあたり、以下の3つの視点を持つことが求められます。
1. 何をやるのか:自社の事業環境にマッチしたCLOの役割を設計すること。
2. どのようにやるのか:その役割を果たすために必要な権限を付与すること。
3. 誰がやるのか:権限を行使して目的を達成するために必要な素養と能力を持つ人材を充てること。
この順番で設計を行うことが、正しい選任の仕方になります。
経営戦略を担うCLOの7つの重要機能
CLOには、以下の7つの重要な役割が期待されています。これらの役割を通じて、コストとサービスを最適化し、物流を経営戦略の一環として推進することが求められます。
1. 経営陣・関連部署との連携:物流は販売や生産など関連部署と密接に関わるため、全社的な取り組みを推進します。
2. 物流戦略の策定:コストとサービスを最適化する戦略を策定します。過剰な物流サービスを見直し、その投資が本業に見合うかを判断します。
3. コスト構造の把握:従来の運賃だけでなく、サプライチェーン全体のコストを詳細に分析し、ボトルネックとなっている箇所を特定します。
4. 法令遵守(コンプライアンス):法改正内容を正確に理解し、関連部署へ展開することで、法令違反のリスクを防ぎます。
5. 取引先の評価:運送事業者様の事業の健全性などを評価し、サプライチェーンの安定性を確保します。
6. 生販在連携(SCM):生産、販売、在庫の各部門と連携し、全体最適を目指します。
7. 環境対応の立案:環境負荷の低減に向けた取り組みを推進します。
特に重要なのは、コストの構造を把握した上で、物流戦略を策定することです。ドライバーの待機や荷役にかかる人件費といった、これまで見えづらかったコストを詳細に分析し、その情報を基に、過剰なサービスレベルを見直し、経営に資する物流戦略を策定することがCLOの最も重要なミッションになります。

このセミナーを聴いた後に取るべき行動
本セミナーで得た知識を最大限に活かし、貴社が新物流効率化法へ確実に対応するため、以下の行動をお勧めします。
1. 振り返りシートへのご回答: セミナーテキストの特典を受け取り、実践したい事項を明確化するため、速やかに振り返りシートにご回答ください。
2. 特定荷主となる可能性の判断とデータ収集の開始: 2026年4月の義務化に備え、自社の取り扱い貨物量を手持ちの情報で試算し、特定荷主の対象となるか否かを判断してください。対象となる可能性がある場合は、中長期計画策定に必要なデータ(荷待時間、積載率など)の可視化と計測を今すぐ開始してください。
3. CLO機能の強化に向けた情報収集と学習: 物流統括管理者(CLO)に求められる7つの役割(物流戦略策定、コスト構造の把握など)を理解し、自社の事業環境に合わせたCLOの役割設計に着手してください。
4. 専門家への無料相談のご活用: 物流効率化法への対応やCLO機能の設計、現場課題の解決に関して、さらなる個別相談をご希望の場合は、振り返りシートから弊社のコンサルタントによる無料相談枠をご利用ください。
5. ロジスティクスリーダーシップサロンへの参加: CLOのミッションを実践する勉強会組織「ロジスティクスリーダーシップサロン」へご参加ください。他社様の事例やCLO機能マップを用いたセルフチェックを通じて、具体的なアクションを明確化することができます。特別無料招待枠をご用意しておりますので、ぜひご検討ください。
来年度の特定荷主としての対応が必要な方
物流効率化法が改正されたものの、具体的に何をしたらいいのか分からない方
法令を遵守した物流体制構築に向けて、具体策を検討したい方
法令の枠組みは理解したが、現場への落とし込みに向けた細かい解釈や捉え方が分からない方
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