はじめに
改正物流効率化法の施行に伴い、特定荷主には“中長期計画の策定“という新たなミッションが課されています。たしかに、これは法令遵守のための1つの手続きである事は間違いありませんが、視野を広げ、全体観で捉えた時、本来の物流効率化の目的は、持続的な”企業価値の向上”にあります。直近の計画提出の先を見据え、自社の事業戦略と物流をいかに有機的に統合し、事業成長による企業価値向上へと昇華させるか?が、今まさに問われている論点と言えます。
事業戦略と連動する物流のあり方
物流の取り組みを経営インパクトへと変換するには、下図のようにROIC(投下資本利益率)の構造に分解して捉える視点が不可欠です。
| ROIC 投下資本利益率 |
分子: 税引後営業利益 |
売上高 | ・欠品率低減、出荷精度向上 |
| 売上原価 | ・誤出荷削減、輸送効率向上 | ||
| 物流販管費 | ・作業生産性(人件費削減)、坪当たり保管効率(賃料削減)向上 | ||
| 分母: 投下資本 |
棚卸資産 | ・需給計画連動、需要予測の精度向上(安全在庫適正化) | |
| 流動負債 | ・買掛金、支払いサイト最適化 | ||
| 固定資産 | ・設備、システムの適正利用による効率化・合理化、アセットライト化 |
物流現場の改善とは、本来単なるコスト削減の取組にとどまるものではありません。例えば、売上高の観点では欠品削減や出荷精度向上が顧客満足度を高め、売上増や本来不要な手戻りコストの抑制に貢献します。売上原価や販管費の観点では、作業生産性の向上や輸送効率化により利益(NOPAT)を直接押し上げる事が可能です。特に重要なのは投下資本(BS)へのアプローチです。需給の計画連動や、予測精度の向上の取組は安全在庫の圧縮につながり、棚卸資産を削減できるほか、倉庫設備・IT投資による効率化・合理化の施策やアセットライト化は固定資産の最適化を実現します。物流現場にある1つ1つのデータ、すなわち指標:KPIが経営のROICへ帰結します。
おわりに
物流現場の言語・取り組み・成果は、必ず”経営の言語”へと翻訳されなければ、経営陣からの正当な理解とその評価を得ることはできません。当社は、現場の立ち上げ・運営から経営視点での物流戦略策定まで一貫して支援し、“戦略と実行の接続”を強みとしています。”物流コスト妥当性評価”サービスでは、単なるコスト水準の診断にとどまらず、貴社の事業体に合わせた”物流KPI構造の設計”まで共に伴走いたします。来月以降、定期報告に向けた具体的な実行フェーズへと移ります。この機に、経営と物流を共通言語で語り合う確固たる基盤を構築してみませんか。
【関連サービスのご案内】物流コスト妥当性診断
貴社の現在の物流コストが事業水準に対して適正かを客観的かつ精緻に評価します。単なるコスト削減の提案にとどまらず、事業戦略に合わせた「物流KPI構造の設計」までを支援し、経営に直結する本質的な物流効率化と企業価値向上を共に伴走・サポートするサービスです。